パート保育士の働き方とは?正社員との違いを大解説!

パート年収

2021年7月19日 掲載

現在の保育士業界で保育士の人手が全く足りておりません。それはなぜでしょうか?

平成24年から令和2年までの10年で保育園の数は約15000ヶ所増加し、保育士資格取得者は年間約60〜80万人ずつ増加するなど一見すると保育士不足は解消の傾向にあると思われますが、保育の現場では保育士不足が叫ばれ続けています。

そこで、多様化する保育士の種類や保育所の現状について詳しく解説していきます。


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1. 保育園の需要と保育人材不足

現在、保育所も多様化し様々な種類の保育園が存在しています。

2015年に施行された「子ども・子育て支援法」により保育業界が大きく変わりました。

「子ども・子育て支援法」とは、幼児期の学校教育や保育・地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めていくためにつくられた制度で、具体的には認定こども園や保育所等の増設や保育士1人が担当する子どもの数の改善を推し進める事項が盛り込まれました。

この制度がつくられた背景として、女性の社会進出に伴い共働き世帯が増加したことによる子どもを預ける場所の需要の高まりや、保育園に預けられる子どもたちが笑顔で豊かに成長できるよう保育の質を向上させる必要性が挙げられます。

この制度により保育園のあり方の見直しが行われ、保育園の種類は多様化しました

種類概要・特徴
認可保育園国から許可されている保育園
認定こども園幼稚園と保育所の機能と特徴を併せ持った保育所(内閣府の管轄)
地域型保育市町村が認可する超規模の保育園
居宅訪問型保育 ベビーシッターや保育士と子どもが1対1が基本の形の保育

潜在保育士と保育士従事者

保育士の資格を取得している人数は平成30年時点で154万人おり、年間約60〜80万人ずつ増加しています。

しかしながら、実際に働いているのは、その3分の1しか過ぎず、保育士登録者と保育士従事者の数に大きな乖離があることが保育士の足りない大きな原因となっています。  

保育人材の多様化

「子ども・子育て支援制度」を施行した狙い通り現在は、様々な種類の保育所があります。

筆者は20年前に保育士資格を取得したのですが、そのときはまだ大まかに「保育園」と「幼稚園」そして「託児所」というものしかありませんでした。2015年の政策の施行に伴い、保育所の数と種類が共に増えていったのです。そして、変わるのは保育士としての働き方もまた多様化するということです。

現在の家族の形として核家族化が進み、祖父母が一緒に住むケースが減っています。また夫婦共働きも増えていき常に親・祖父母がいた一昔前と比べると保育所に預けざるを得ない家庭の状態が増えていったこともあり、現在の保育業界は様々なニーズに応える必要が出てきました。下のグラフでは預かり保育を実施している保育施設の推移をまとめています。 

<正社員保育士の特徴>

それでは、多様化した保育士の働き方の特徴について見ていきましょう。

雇用スタイル・常勤で、保育士の資格を持っているものが条件。
・会社の規定に沿った休みを消化。
・無期雇用となるので長期的に安定して働き続けることができる。
メリット・保育を自分で立案しそれに沿ってできる。
・収入が安定している。
・福利厚生がしっかりしている。
・昇給・キャリアアップにつながる。
デメリット・仕事量が多い。残業になることがある
・休みが少ない。まとまった休みがっとれない。
・担任を持ったりしたら辞めにくい。
・家庭との両立は、パート職員と比べて大変。 

正社員保育士の特徴としては、自分が主体的となって子どもたちの保育を担当することが挙げられます。

クラス全体の統括リーダー的存在となるため、子どもたちから慕われやすく”先生”としての実感が湧く一方、行事の準備や日々の業務量が多くワークライフバランスが取りにくいのが特徴です。

<パート保育士の特徴>

雇用スタイル・勤務日数や、勤務時間をライフスタイルに合わせて自分で選ぶことが可能。
・無資格でも保育補助として従事できる。
・雇用期間は一定の雇用期間が定められている。
メリット・持ち帰りでの仕事が少ない。
・休みの調整できるため、プライベートと両立可能。
・行事参加が必須ではない。
デメリット・正社員より給料が低い。
・福利厚生は期待できない。
・自分主体の保育ができない。
・雇用期間が限定的である。

パート保育士の特徴としては、融通のききやすさが挙げられます。担任の先生が1人では面倒をみきれない、食事の時間やお外遊びのサポートなどを主に担うため、正社員保育士に比べて仕事量の負担は軽くなります。一方、住宅補助などの福利厚生は対象外となるのが特徴です。

<派遣保育士の特徴>

雇用スタイル・雇用者は人材派遣会社のため給料も人材派遣会社からの支給。
・主体となる保育士の補助などがメインとなることが多い。
・雇用スタイルも有期雇用で一定の雇用期間が設けられている。
メリット・給料が高い。(時給1400〜1800円)
・残業代も正社員同様に支給される。
・有給休暇・産前産後休暇も取得できる。
デメリット・ボーナスはない。
・契約期間が決まっており延長は難しい。
・正社員より収入は少ない。
・契約期間前に辞めることが難しい。

派遣保育士の特徴としては、給料の高さが挙げられます。業務内容は、”サポート業務”がメインとなっておりパート保育士と同じでありますが、契約期間が限定的であることから時給が300円ほど高くなっています。一方、派遣会社を通して保育園に就業することとなるため、契約期間の延長または短縮はできないことが特徴となっています。

2. パート保育士って何者?

パート保育士は現在の多様化した保育業界にはなくてはならない存在となってきています。

子どもたちの間ではクラスの担当の先生の活躍が目立ち、補助の先生はなかなか覚えてもらえないのではないかと思われる方も多いと思いますが、パート保育士のような補助をしてくれる保育士がいるからこそ子どもたちは安心してのびのびと保育園で活動ができるのです。また補助の先生なしでは、担当の先生たちも十分な仕事ができません。

担当の先生や正職員の保育士から比べると「陰」となりますが、パート保育士のような補助人材がいるからこそ、子どもたちに提供できる教育の質は上がり保育施設全体がいい雰囲気となるのです。

いわば縁の下の力持ちといった役割がパート保育士なのです。

パート保育士がいることのメリット

・待機児童者数が減らせ、保育施設はより多くの児童を受け入れすることができる。

・子ども一人あたり担当する保育士の数が増えるため、質の高い保育を提供できるようになる。

・早番・遅番といった時間を担当し、多様化した保育の現場に対応できるようになる。

・担当を持たないフリー保育士として手の足りない部分をサポートできる。

など、パート保育士がいることによって保育の現場の質は向上し子どもたちに多くの笑顔を届けることができます。

また、保育士側も自分が稼働できる範囲内で業務をすることができるため、ストレスフリーで理想の働き方が可能となります。

パート保育士人材数

パート保育士という働き方に馴染みがある方は多くないのが実感であると思いますが、パート保育士として働く人の割合は、年々増加しており平成25年では約20%の方が従事しています。また、保育業界において保育士人材の需要は今なお高いため、パート保育士の求人も近年急増しています。

3. パート保育士ってどんな働き方?

子育ての合間の空いた時間・小学校に子どもが言っている時間で働くことができる。色々な理由で長い時間働くことができない。など色々な理由から保育士として働くのを諦める方も多いと思いますが、

パート保育士は自身のライフスタイルに合わせることができるため、満足度をあげやすい働き方の一つです。

パート保育士の平均稼働データ

パート保育士は勤務日数・時間を自由に選べることが最大のメリットです。一般的には1日3時間、週2日~5日から選べるところが多いです。

平均勤務時間

1日5~6時間が平均となっています。

施設のサービスによって早番・遅番の対応や、短時間での対応など保育施設と相談できるところが増えており、フレキシブルな働き方が可能です。

平均勤務日数

週3日が平均となっています。

曜日指定、勤務日数の指定なども保育園と相談できます。

保育施設の預かり保育の内容により、土曜日・日曜日なども勤務する事が可能です。

平均残業時間

基本的には時間固定制を採用しているところが多いためシフトを重視し、残業が発生することは稀です。

残業がなくライフスタイルを崩しにくい働き方ができるのがパート保育士の魅力です。

平均時給

パート保育士は時給制がほとんど。パート保育士は大きく二つに分けられます有資格者と無資格者です。

保育士資格のあるパート保育士の平均時給は、1100円~1200円となっています。

(有資格者であれば経験を考慮されるため、場合によっては高時給も狙うことができます。)

保育士資格のないパート保育補助の平均時給は、900円~1000円となっており保育士の仕事に興味があり一度経験してみたいという人も働くことができます。

福利厚生

福利厚生に関しては、働く時間・日数によって福利厚生が受けられるかが変わってきます。

多くの場合、家賃補助やボーナスといった福利厚生は受けられませんが、週20時間以上の勤務で社会保険に加入でき、交通費など業務するにあたって必要な費用は正社員同様に負担してもらえます

4. 正社員保育士とパート保育士の違い

正社員保育士とパート保育士では、「子どもの保育をする」という目的は同じですが、担当業務や残業の有無、給与体系に相違があります。

 正社員保育士パート保育士
休日・年間105〜108日
・4週9休や4週6休といった休日取得
・週3日や週5日など自分で調整可能
業務時間・8時間勤務(休憩時間1時間)・自分で調整可能(1日3時間〜が一般的)
平均残業時間・約4時間・残業はほとんどない
平均給与・月収26万円
・ボーナス年間70万円
・時給1000円
(有資格者は1100円~1200円)
担当役割・クラスの担任になるなどリーダー的役割・正社員保育士の補助・サポート
福利厚生・社会保険の加入
・ボーナスの支給
・退職金もでる
・有給休暇もあり
・多くの場合なし

正社員とパート保育士の比較をして見えてくるのはやはり、「担当役割の違い」から様々な違いが生まれるということでしょう。

つまり、正社員保育士は”裁量権のあるリーダー”であるがゆえに責任も重く積もるため、自己都合で休日がとれなかったり、業務の幅も広くなるため残業が発生します。

一方、パート保育士は“リーダー(正社員保育士)を支えるサポーター”であるがゆえに、0から準備する必要はなく残業も発生しない。また、自身が稼働できる範囲で”サポートする”というスタンスのため、業務時間や日にちも自由に選択でき、無理のない働き方が可能となるのです。

パート保育士の主な業務内容

大まかなにパート保育士の働き方を説明しましたが、具体的にどのような働き方かあるのかを見ていきましょう。

パート保育士の役割は、先でも触れたように「正社員の保育士の補助」という役割が強いです。担任の先生の補助・福担任としてサポート・目の行き届かない部分をサポート、早い時間・遅い時間に利用する児童を担当する、制作や行事の準備などを任されるなどの業務が多いようです。

  • 担任の先生の補助・副担任としてサポート・目の行き届かないところを補助

クラスに入る場合は担任の先生がクラス全体の保育を進め、サポートとして入ることが多いでしょう。保育士一人で、自由気ままな子どもたちの様子を見るのは限界があります。そこでパート保育士は個別に子どものサポートをしていくのです。

  • 早い時間・遅い時間に利用する子どもの担当になる

保育施設の多様化として、子どもを預ける親の状況も変わってきています。仕事により、早い時間に預けなければならない。仕事の都合で遅い時間のお迎えとなる。ということも増えています。そのニーズに応えるために、パート保育士で早番・遅番として出勤し対応していきます。

早番は主に7時から勤務開始、遅番は19時まで勤務といったところが多く、延長保育・夜間保育(お泊り)なども対応する保育施設も年々増えていって令和元年では保育施設の全体で87.8%預かり保育を行っています。

このような変化していったニーズに応えるためにも早番・遅番のパート保育士が必要になってきています。

パート保育士の1日のスケジュール

<パートの早番保育士さんのある1日のスケジュール>

パート保育士の担当業務や働き方についてみてきましたが、実際に1日の動きとしてはどのようなものになっているのでしょうか?

時間保育園の様子パート保育士さんのお仕事出勤
7:00  早番保育士さん出勤
7:15
園児のお迎え
早朝の時間外保育の子どものお迎えをします子どもたちのお迎えをします 
8:00
通常保育開始
通常保育のお迎えが始まります次は、通常保育のお迎えです 
8:30保護者の方や早番の保育士から体調の変化などを確認します  
9:30
朝の会
朝の会がスタートお話を聞いてもらうようサポートをします 
9:50
自由遊び
子どもたちが自由に遊びます。事故・トラブルがないよう見守ります。 
10:00  パートの早番保育士さん退勤

朝番担当の場合、まず稼働時間が約3時間と正社員保育士の朝番担当と比べて半分以下となっています。そのため、午後からは家事や他の活動に時間をあてることができます

また、業務に関しても注意が必要なお昼寝や大規模なイベントごとは担当外であるため、子どもたちとのびのび触れ合うことができます。



<パートの遅番保育士さんのある1日のスケジュール>

遅番担当の場合はどのような流れになるのでしょうか?

時間保育園の様子パート保育士さんのお仕事出勤
15:30  パートの遅番保育士さん出勤
16:00
帰りの会
帰りの準備をして、親御さんが来た順番で帰宅します。帰りの準備のお手伝いをします。        
16:30
延長保育開始
 早番保育士さんから引継ぎを受けます。  早番保育士さん退勤
17:20延長保育となると、年齢関係なくみんなで遊ぶ保育施設が多いです。ここでもトラブルがないように見守ります。 
19:30時間外保育でお預かりしている子どもたちが帰宅します。親御さんが迎えに来たら順番で帰宅。お迎えにきたら、変える準備を一緒にします。遅番保育士さん退勤

遅番担当の場合、主な担当業務は親が迎えに来るまでの子どもの見守りとなります。勤務時間も、15時すぎから20時までと短時間であるため、家事を一通り終わらせた後に出勤することが可能です。また延長保育時間になると、様々な年齢の子どもと一度にかかわることができるため毎度違ったやりがいを感じることができるでしょう。

5. パート保育士におすすめの人

✔️家庭の両立を図りたい人   

 資格を持っているけど小学校などに通う子どもの子育てや家事の合間に働きたいでも正職員のような働き方ができない。そのような方は即戦力となるので保育施設としては是非働いてほしい人材です。

✔️もう一度保育士に戻りたい人

 ブランクがあって、少し自信がないけど、もう一度保育士の仕事に戻りたいなら、一度パートで働いて、自信を取り戻したときに正社員として働くことも一つの考えだと思います。保育施設によっては、パートから正社員にあげてくれる保育園もあるので下調べは必要ですが正職員に上がれる保育園で働いてみてはどうでしょうか?

✔️保育にかかわりたい

 子どもが好きで、保育の仕事に就きたい、無資格でも関わりたいという人でも現在は保育補助という働き方もあります。

✔️色々な年齢の子どもにかかわりたい

 フリーの保育士としてなら、担任としてかかわることではなく、スポット的に関わる保育施設もあるためクラスや年齢に関係なく、目の行き届かない所にサポートとして関わるため、色々な年齢の子どもたちと関わる事ができます。

6. まとめ

現在は、2015年の「子ども・子育て支援制度」が施行され、保育業界も大きく変わりました。また一方で、保育士事態の不足が今なお大きな問題となっていっています。

今では、パート保育士は大切な働き手の一つとして考えられるようになりました。パート保育士は、残業がなく希望の休日が取れるなどワークライフバランスをとりやすい働き方が可能なものであります。保育士の資格を持つ人また保育士に興味がある人にもパートでの働き方は一つの手段として考えられるのではないでしょうか?

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